がん治療の副作用を知る・伝える・工夫する
副作用とどのように向き合うか
―石木 寛人
がん治療には様々な副作用を伴います。様々な体の不調が治療のせいなのか、それとも病気のせいなのか、それともそれ以外なのか。原因がはっきりしないこともしばしばあります。原因が分かれば対処法も分かり、体調の改善や安心につながります。
この講演では、どのように副作用を知り、伝え、工夫するかについて考えます。
抗がん剤治療による皮膚トラブルを乗り越える工夫
―柳 朝子
抗がん剤治療では、手足の痛み、発疹、乾燥、爪の変化など様々な皮膚トラブルが起こることがあります。症状によっては日常生活に影響を及ぼしますが、早めの対処やセルフケアによって悪化を防げる場合があります。本講演では、研究成果や実際のケアを交えながら、皮膚トラブルを乗り越える工夫についてわかりやすくお話しします。
当日寄せられたご質問に対して、先生方にご回答いただきました。Q1 冷却治療について、大腸がんの抗がん剤治療中、冷凍庫または冷蔵庫に手を入れることができず、軍手を使っていました。かつ、温めるように指示もありました。この場合は、冷却治療は向いていないということでしょうか。
A1 抗がん剤の種類によって、冷却治療の効果が期待できるものとそうではないものがございます。 大腸がんの抗がん剤治療も様々な薬剤を使用しますので、冷却治療が良いかどうかは担当の医師・看護師にお尋ねください。
Q2 人によるかもしれないが、差支えが無ければ、「オランザピン」などの薬はどのくらいの期間飲むのか教えていただきたいです。
A2 強い吐き気をきたす抗がん剤治療の悪心・嘔吐の予防目的の場合、オランザピンを抗がん剤投与日から5日間前後内服します。吐き気の強さや日数によりオランザピンの量や内服期間を調整することもあります。
Q3.ご講演にて、皮膚障害が起きてからの対応では遅いというお話もありましたが、なぜ起きてからでは遅いのでしょうか。
A3 一つは皮膚障害は予防的ケアが有効な副作用で、予防的なケアをすることでそもそも副作用の発生を遅らせることが出来るため、事前に対応をした方がいいという意味合いです。
2つ目は皮膚障害の中には急激に起こる皮膚障害があって、起きたときにはすでにADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)が落ちてしまう可能性があるので、やはり予防が大切であるという意味合いです。
いづれも、もちろん起きてからの対処も非常に重要です。ですが、まずはそもそも起こることを予防しよう、起こったとしてもひどくならないように留めようということです。
講演者
頭頸部外科、腫瘍内科を経て緩和ケアを専門としています。 がん患者さんの身体症状の緩和はもちろんのこと、最近は患者さんの心や体の問題をどのように解決するか、薬以外の解決方法(非薬物療法やアプリ開発、社会的支援介入など)の研究を行っています。
看護部 がん看護専門看護師。がん治療に伴う皮膚トラブルや外見の変化に対するケア、患者さんやご家族の心理社会的支援に取り組んでいます。特に、手足症候群や爪囲炎などのセルフケア支援を専門とし、患者さんが自分らしい生活を続けながら安心して治療を受けられるよう、多職種と連携した支援や研究活動を行っています。
司会者
1987年京都市立看護短期大学卒業、2000年がん看護専門看護師認定(日本看護協会)、2014年聖路加看護大学院を修了し看護学博士、2014年11月より昭和大学大学院保健医療学研究科教授、淀川キリスト教病院、昭和大学病院で緩和ケアチームに従事するなど臨床にも携る。2020年よりファミリー・ホスピス株式会社の品質管理役員を務め、2025年11月より現職。NPO法人マギーズ東京理事、NPO法人ともいき京都監事。地域での緩和ケアを受けられる環境作りを目指している。
